曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

万事休す []

静岡 長興寺 住職 森田勝准 老師

 万事休す。手を尽くしてもうまくいかず、もうおしまいだ、という意味で使われる言葉です。この言葉は、「万事を休息す」という仏教の禅の言葉が変化したものです。
 「万事」とは、自分自身や、自分を取りまく環境、それらすべてのことです。「休息する」とは、それらから離れることを意味しています。
 仕事や人間関係など、ものごとがうまくいかなくなると、私たちは何とかその問題を解決しようと、がんばります。そして、がんばりもがき続け、体も心も疲れ切ってしまうこともあります。
 がんばり、もがいているときの自分を思い起こしてみると、気がつくことがあります。それは、もがいているときには、自分のことしか考えられなくなっている、ということです。どうしよう、という気持ちばかり強くなり、その気持ちのエネルギーは、自分の内側にしか向かなくなっています。
 そんなときこそ、万事を休息することが必要です。自分のことしか考えられなくなっていた内向きのエネルギーを、解放してあげるのです。
 解放の仕方は、人それぞれです。私は、何も考えずに、じっと星空を見上げていると、内側に向いていたエネルギーが、すうっと体から抜けていくのを感じます。
 だからといって、それで問題が解決されるわけではありませんが、何よりも、気持ちが安らぎ、落ち着きます。ときには、今まで気がつきもしなかったことに気づき、問題の解決につながることもあります。
 万事休す。そんな行き詰まったときこそが、万事を休息するときなのです。 

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