3月は別れの時節です。私は以前、小学校の教員でした。3月の学校行事と言えば卒業式ですが、もう一つ大切な行事があります。それは、5年生が中心になって行う6年生を送る会です。
5年生は、これまで学校のリーダーを務めてくれた6年生のために感謝の気持ちを伝える会を計画し、下級生に協力をお願いします。そして、下級生みんなで歌やメッセージ、手作りのプレゼントを贈ります。準備にはとても時間と労力がかかりますが、その行事を通して5年生は新しい学校のリーダーとなるのです。
私は、故人、特に親や恩師のお葬式も同じ意味を持っていると思います。
お釈迦様は、自分の命があとわずかだと悟った時に、嘆き悲しむ弟子に対して「私の死を嘆き悲しむな。生まれたものは必ず死ぬ。これは誰も免れることはできない。だが死ぬのは私の肉体である。本当の命は私が説いた教え、法の中にある。それに気づいて実践するならば、そこに私は生きているのだ。自らを灯明し、法を灯明とせよ。」とおっしゃいました。
お葬式は、単なるお別れ会では無いです。残された者が故人の為に感謝の気持ちと仏界での安心を願う事で、自分自身も故人に頂いた教えや恩を思い巡らし、新しい人生のリーダーとしての自覚を持つ行事であると思います。
時代の流れの中で、お葬式の形も様々に変容していますが、その意味は不易なもの、変わらないものであると思います。
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