曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

新しいリーダー []

静岡 東光寺 石田泰光 師

 3月は別れの時節です。私は以前、小学校の教員でした。3月の学校行事と言えば卒業式ですが、もう一つ大切な行事があります。それは、5年生が中心になって行う6年生を送る会です。

 5年生は、これまで学校のリーダーを務めてくれた6年生のために感謝の気持ちを伝える会を計画し、下級生に協力をお願いします。そして、下級生みんなで歌やメッセージ、手作りのプレゼントを贈ります。準備にはとても時間と労力がかかりますが、その行事を通して5年生は新しい学校のリーダーとなるのです。 

 私は、故人、特に親や恩師のお葬式も同じ意味を持っていると思います。

 お釈迦様は、自分の命があとわずかだと悟った時に、嘆き悲しむ弟子に対して「私の死を嘆き悲しむな。生まれたものは必ず死ぬ。これは誰も免れることはできない。だが死ぬのは私の肉体である。本当の命は私が説いた教え、法の中にある。それに気づいて実践するならば、そこに私は生きているのだ。自らを灯明し、法を灯明とせよ。」とおっしゃいました。

 お葬式は、単なるお別れ会では無いです。残された者が故人の為に感謝の気持ちと仏界での安心を願う事で、自分自身も故人に頂いた教えや恩を思い巡らし、新しい人生のリーダーとしての自覚を持つ行事であると思います。

 時代の流れの中で、お葬式の形も様々に変容していますが、その意味は不易なもの、変わらないものであると思います。

| top | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 次のお言葉 |