曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

息子とぬいぐるみ []

三重 大仙寺 桝本典暁 師

よく聞かれることがございます。「お供え物は何を用意すればいいのでしょうか」また、「お仏壇には、お茶お水の両方お供えするのでしょうか、ご飯も必要ですか」と。
おそらく慎重に考えるあまり、難しく感じてしまっているのでしょう。
私は聞かれる度に一般的なお供え物、お供えの仕方の例を説明し、そして最近は必ず最後にこう付け加えます。「決まってはいませんので、故人にお供えしてあげたいもの、生前好んでいたものが思いつきましたらそれをお供えしてあげてください」と。
私には七歳の息子がいます。昨年の誕生日にお気に入りキャラクターの「ぬいぐるみ」をプレゼントしました。とても大事にしており、ベッドで一緒に寝て、起きると抱っこしてリビングに一緒に来ます。昼寝の時は布団を掛け、おやつの時は少し分けています。素材が気持ちいいので、私がそれを無意識に枕にすると「痛がっているからやめて」と言って慌てて取り返しにきます。息子はぬいぐるみと心が通じ合っているので、話さなくても、食べなくても満足しているのです。それを毎日見て感じることは、とても純真で、尊い姿だということです。
私は息子とぬいぐるみの関係は、我々と仏様との関係に通ずるものがあると感じました。難しく考えず、ひたすらに大事にする。そうすることで、話さずとも仏様と心が通じ合い、我々の「どうぞ」に、仏様の「ありがとう」が心に聞こえてくる。この関係が大事なのだと思います。
そうなるともうお供え物で悩むこともなくなるのではないでしょうか。

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