曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お地蔵様の姿 [1801 H27年2月9日〜2月15日]

静岡県 誓願寺 住職 伊藤晋英 老師


私が住職をしているお寺のご本尊様は、延命地蔵菩薩様です。
色々なお地蔵さまがいる中で、延命地蔵さまは文字通り、長寿を願う人々から信仰されました。その信仰は、平安時代末期から鎌倉時代の戦乱が続いた世の中で全国に広がったと言われています。その時代には、子供が無事に生きながらえて成人になれること、成人が老人になれること、長く生きられるということが一番の願いであったと思われます。
けれども今日では、その願いも変化しているようです。あるお堂のお地蔵さまは、今まで延命地蔵さまとして祀られていたお地蔵さまがそのまま「ぽっくり地蔵さま」として名前を変え信仰されているそうです。当たり前のことですが、今日でも、短命で亡くなる方も大勢いますし、小さな命も失われています。そういった人々の苦しみがある一方で、昔に比べ医療技術が進み、高齢化の世の中では、実際の問題として、「苦しまずに死にたい」「迷惑をかけずに死にたい」という悩み、願いがあります。
 このように、お地蔵さまは、特定の信仰を強いるのではなく、現実の苦しみをそのまま「受け入れ」、「寄り添う」という形で私たちを導いてくれる存在なのです。延命地蔵や六道地蔵のようなお経に書かれたお地蔵さま以外にも、人々の願いを冠したお地蔵さまの種類は枚挙に暇がありません。他のほとけさまも願いに応じて異名がつきますが、お地蔵さまほど多様な姿を求められた存在も稀です。
最近、傾聴ボランティアが盛んです。傾聴活動は、ともかくまず相手を受け入れ、只耳を傾けることが大事だと教わりました。その姿はそのままお地蔵さまの姿です。私たちもお地蔵さまに倣って、大切な人が悩み苦しんでいるとき、型どおりの解決を求めるのではなく、まず寄り添っていくという姿を大事にしたいものです。

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