曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

新元号を迎えて []

愛知 普済寺 住職 伊藤道淳 老師 

 令和時代が始まり、早二ヶ月が過ぎました。新しい時代の幕開けに、日本列島は祝福ムードに包まれました。改元直後、耳慣れない言葉に若干の違和感を感じた方も、二ヶ月が経ち徐々に馴染んできた頃ではないでしょうか。日本の古典である万葉集の「梅の花の歌」の序文からの出典で、梅花流のお唱えや、曹洞宗の開祖道元禅師様が愛好した「梅の花」にちなんだ名前という事でより親しみを感じるようになりました。 元号が変わるまでは、いろいろと予想合戦が繰り広げられたり、慣れ親しんだ平成の終わりに一抹の寂しさを感じた方もおられたかもしれません。
 物事は何でもそうですが、初めての世界に飛び込む時は不安だったり迷ったりします。ですが、水に飛び込んでしまえば、だんだんと体が馴染んでいくように、あれこれ悩んでいるより「案ずるより産むが易し」で、スパっと行動に移すのも良い方法かもしれません。
もちろん、飛び込んだ後、流れに身を任せるか泳いでいくかは自分の判断ですが、明確にやることや足りないものが見えてくるものです。
 私は以前、福井県の大本山永平寺で修行をさせて頂きました。入門する際、その年の一番最初に永平寺の門を叩き、修行中、約百名の新しく入る修行僧の先頭を切る役目を頂きました。
 私のような若輩者が、そのような大役を全うできるか不安でしたが、大勢の仲間たちに支えられて、何とかお勤めすることができました。
 禅の言葉に、随縁(ずいえん)というものがあります。これは文字通り、縁にしたがうという意味です。私たちはしばしば、「ご縁がありまして」という言葉を使いますが、これは何も特別なことばかりではありません。日々の暮らしの中で、常に自分にとって素晴らしいご縁というものは生まれています。今日出会った人の何気ない言葉で、人生が大きく変わることがあるかもしれません。問題は、それに気づくことができるかどうかということです。
 冒頭で、元号に関するお話をいたしました。日本では、明治維新の時、「西暦」に移行した経緯がありますが、イスラム教社会では「イスラム暦」、タイなど東南アジアの仏教徒の多い国では「仏暦」が採用されています。ちなみに、今年は仏暦2562年とされています。
 みんなが同じ時間を共有しているようで、実はそれぞれの時間を過ごしています。大切なことは、相手のことを知り、違いを認めるということだと思います。時代の節目は、いろいろとありますが、本当に何かが変わる瞬間というのは、「自分自身が気づくとき」なのかもしれません。
 自分にとって「今何が大切か」ということを念頭に、これからの新時代が、皆さまにとってより良きものになることをお祈りいたします。

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