曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

南無帰依「電力」の時代だけれど []

岐阜 正宗寺 住職 原田太石 老師 

今年も残すところあとわずかとなりました。
平成30年は、全国各地で自然災害の頻発した1年となりました。私の住む岐阜県高山市でも、9月上旬に上陸した台風21号の影響により、この数十年間で最も深刻な被害がありました。ここはトマトやホウレンソウが特産の地域です。猛烈な風で倒れた木が電線を切り、数日間の停電を引き起こしただけでなく、ビニルハウスや建物の損壊も生じました。雨にさらされるとすぐに腐ってしまうトマトへの被害と合わせ、農家の方々はひどく気を落とされていました。私どももいつ復旧するか判らぬ停電の影響で、日常生活もままならず、冷蔵庫の食料品も傷んでしまいました。電気がないと何もできない、電力への依存度の高い暮らしをしていることをつくづく自覚させられた数日間でした。仏教語の『南無』も『帰依』も「お任せする、ゆだねる」という意味ですが、現代は南無帰依仏ならぬ南無帰依『電力』の生活です。                               
 人生は思い通りにならない、これを『苦』というのだと、お釈迦様はお示しです。台風の過ぎ去った後、「自然のことは仕方がない」と、もくもくと壊れたビニルハウスの後片付けをされる地元の農家の方々のお姿を幾度も目にしました。先日参加した町内の環境作業では、埋まった側溝の土砂を取り除き、崩れた斜面を復旧することに皆で協力しました。文明社会で生活しながらも自然の脅威と向き合いながら、地域やお寺を支えて下さる人々の姿に帰依すべき仏さまと重ね合わせ、思わず手を合わせる私でした。
 新しき2019年が皆さまにとって平和で良き一年となりますよう祈念申し上げます。

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