曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

伝わる心 []

愛知 松雲寺 副住職 都築史岳 師

私のお坊さんとしての出発は遅く、39歳になる年でした。
修行道場での修行を終え、約10年間会社勤めをしておりましたが、師匠が大きな病気で入院することになり、お坊さんとして再出発することになりました。
それまでお坊さんとして一歩踏み出せなかった理由は、自分がお坊さんとして人を導く自信がもてなかったからです。
もう逃げられないきっかけをいただき、どうにか初めの一歩を踏み出した私は、お坊さんとして生きていこうという決意とは裏腹に、自分で本当に大丈夫だろうかと、いつも不安を抱えておりました。そんな私ができることは、仏様やご先祖様のために、心をこめておっとめする事だけでした。
ある日、お檀家様の月命日のお努めを終えて後ろを振り向くと、その家のおばあちゃんが涙を流して私に言ってくださいました。
「若和尚さんが一生懸命お経をあげてくださるのが、嬉しくて嬉しくて涙が出てきてしまいました。きっとあの世でおじいさんも喜んでおります。」と
へたくそでも、知識がなくても、自信がなくても、相手を思い、心をこめて行動すれば、心は伝わるのだ、少しはお役に立てるのだと思い、私も嬉しくて涙が出そうになりました。

これは、釈迦さまが説かれた大切な行いの1つ「布施」という行いにあたります。「布施」というのは広くみんなに施すこと、清らかな心で見返りを求めず人に尽くす事、それが相手を幸せにするのです。おばあちゃんの涙と言葉も「布施」であります。
みなさまも、お仕事や、人付き合いのなかで、今までよりも一歩前に出て、相手のために心を尽くしてみてはいかがでしょう。自信がなくても、経験がなくても、踏み出した一歩と「布施」の心は、少しずつきっと相手に伝わります。そして、それを継続することで、いつか自分自身の大きな変化を感じられることでしょう。

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