曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

線香のけむり []

岐阜 法幢寺 住職 赤田賢了 老師 

本堂の仏様やお仏壇の仏様にお線香を一本お供えするたびに思い出すことがあります。
私は子供の頃、祖母に「朝と夕方には、本堂とお仏壇の仏様におまいりしなさい。」と言われていました。毎日、おまいりはしていましたが、日によっては「眠たいなぁ。早く終わりたいなぁ。」という思いから、速く読んだり、手を抜いたりすることが度々ありました。
そんなある日、私がいつものように、ボーッとお経を読んでいると、それを見た祖母に「お供えをした、線香のけむりを見てみなさい。」と言われました。ふと仏様の方へ目をやると、一本立った線香から立ち上るけむりはグニャグニャと曲がっていました。祖母は続けて、「そのけむりはあなたの心の姿を現している。」「きちんと読めば線香のけむりはまっすぐときれいに上にあがっていくんだよ。」と言いました。
この言葉を言ったのは、一度きりだったと思います。何気なく聞いた祖母の言葉でしたが、何故か心に残りました。
祖母が伝えたかった事に気付けたのは、僧として活動するようになってからでした。曹洞宗の教えに「毎日の生活の中の行い一つひとつを大切にすることを心がけたならば、身と心が調えられ私たちのなかにある、仏の姿が明らかとなる。」とあります。
祖母が言った、線香のけむりは、自分の身と心が調っているかを現してくれているものであると気付きました。「心穏やかに、何事も心を込めて、精一杯やりなさい。」と祖母は伝えたかったのだと気付くことができました。
今も、立ち上る線香のけむりを見ながら、「真摯な気持ちで行えているのか」と、その都度、自ら確かめつつ気持ちと姿勢を整えて日々を過ごしています。
みなさんも、仏様の前に座りお線香をお供えされた時には、そっと静かに線香のけむりを見てみて下さい。そして、身と心が整っているかを確かめて見てください。

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