曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

杓底の一残水 []

東海管区教化センター 渡邊信行 統監 

 テレフォン法話をお聞き下さる皆様、令和五年の初春を迎えて心身共に改まりお慶びの事と存じます。
この頃はどこに顔を出してもSDGsの事がよく取り沙汰されていますネ。
SDGsとは二〇一五年の国連サミットで採り上げられたもので、貧困や飢餓をなくそう!とか、この地球上の総ての人達が皆同じように平和で暮らしていける、そんな世界をつくる為に一人一人が目指さなければならない十七の目標となっていますネ。
ところが今まで、高い文化とか化学の発達とか進んだ技術を求めて来たのは、あの国よりも強くて、豊かになる事を願ったり、
それが一〇〇%だったとはいわないけれど、あの人よりも少しでも優位に立ちたいとか、常に誰々よりも何々よりもと云う考えの元になされた事が多かったのではないでしょうか。
そうではなくて「誰一人として取り残さない社会」を目指す事がSDGsと云われるものです。
今の社会を変える為の十七の目標となっています。
私は令和三年・四年と度々大本山永平寺に上山致しました。ご本山の入り口の左右には石の柱が立っていて字が刻んであります。
「杓低の一残水」と「流れを汲む千億の人」と彫ってあります。
ご開山である道元禅師の言葉です。
ヒシャクで水を汲んで飲み、残った水をパッと捨てるんではなくて元の流れに戻してやります。その水は流れ流れてやがては千億の人に及ぶと云う事ですよネ。
私だけがこの水を飲めば良いと云うのではありません。私もこの水を頂くけれども、同じように多勢の人にも分け与えます、と云う事でしょう。
人よりも、誰よりもではなくて「誰一人取り残さない」と云うテーゼ。
国連サミットは二〇一五年に漸く採択したのですが、道元禅師は一二四三年の昔に示されております。
私はこの言葉を胸に刻んでいきたいと思います。

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