曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

仏性にふれる []

静岡 宗源院 加藤寛頼 師 

お寺で御祈祷の法要をおつとめした時のお話です。

法要に参加されたお檀家の皆さんに、「今日は仏さまが皆さんの願い事をかなえて下さる日になります。どんなことでもいいので、
ぜひお願い事をしてくださいね。」とお話しいたしました。
するとある方がすぐに「それでは皆さんの健康をお祈りさせていただきますね」と仏さまに手を合わせ、お参りをされました。

今のご時世、自分のことをまず第一に考えて過ごすことが多くなってしまいがちですが、その方は自分のことよりもまず周りの人の幸せを考えて、仏さまにお願い事をされたことに対し、その時の私は深く心を動かされしました。

お釈迦様のお話の中に、
生きていく上で苦しみが生まれてしまうのは、
必要以上にモノを求めてしまう「むさぼり」のこころ、
人のことを嫌ったり、憎んでしまう「いかり」のこころ、
間違ったことを正しいと思い込んでしまう「おろかさ」のこころがあるからだ、というお話がございます。

とすると、その方は今まさに、自分に与えられたものを すぐさま他の人へと与え、周りの人に慈愛の心をもって接しておられたのだと感じ、私自身、その方を通して 仏性:仏さまの本質 にもふれさせていただいた様に感じました。

全ての物事には仏さまの心が宿っているといわれています。
私たちもまた、本質にはお釈迦様の心が備わっているともいわれています。

日々、せわしなく過ごしてしまいがちではありますが、同じ日は一つとしてありません。
そして普段は気にせず過ごしておりますが、私たちも常に同じ姿であり続けることはありません。

日々変わりゆく毎日の中で、共に過ごす方々とのいろいろなご縁を大切にし、その中に感じる仏さまとの出会いもまた大切にしてまいりたいですね。

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