曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

心を開く挨拶 []

岐阜 広福寺 住職 紀藤昌元 老師

お盆に自転車で棚経にまわっている時、向こうから同じように自転車でやってきた中学生の女の子二人が、笑顔で元気に「こんにちは」と挨拶をしてくれました。こちらも自然と笑顔で「こんにちは」と挨拶します。たった数秒間の出来事、ひと言の言葉の交換でしたが、私はとても明るい気持ちになりました。挨拶を通して、その子たちの素直な明るい心に触れ、自然に自分の心まで明るくなっていたのです。ひと言の挨拶が持つ力を、改めて気づかせてもらった気がします。
私たちの日常に行き交うたくさんの挨拶。そのひとつひとつの挨拶を、自分がどんな気持ちでしているか振り返ってみると、いい加減な挨拶ばかりしているのではないか、と心配になるのは私だけではないと思います。
実はこの「挨拶」という言葉が、もともと禅の言葉であることをご存じでしょうか?「挨」は積極的に迫ってゆく、「拶」は相手に切り込む、という意味があります。つまり、人と人との間に積極的に切り込んでいく行動が挨拶です。禅宗では、相手の境地がどれほどのものか計る問答を「挨拶」と言い、肌に触れずに心で心を読み、相手の心に迫ることを言います。
禅の修行に限らず、私たちの日常生活でも挨拶は人と人とのコミュニケーションの基本です。人は誰もが、他の人とつながっていたい、仲良くしたいという思いを持っているものです。しかし同時に、他の人と関わることに不安を抱いたりもします。挨拶は、そんな不安を取り除き、私たちに人と関わることの喜びを与えてくれる力を持っています。だから、見知らぬ相手からでも明るく挨拶をしてもらえると嬉しくなります。それは、その人が自分に心を開いてくれた、そんな気がして安心するからです。
自分の心を開き、相手の心をも和ませる。そんな本物の挨拶を通して、周りの人たちと明るく心を触れ合える、そんな毎日を過ごしていきたいものです。

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