曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

愛の取扱に注意 []

愛知 威音院 中村元紀 師 

愛がすべて、愛さえあれば。
愛と聞くととても大切で素晴らしいものだと私達は考えます。
しかし、お釈迦様は「愛」について、私達とは異なった受け止め方をしているようです。
ダンマパダというお釈迦様のお言葉の中で「愛情から憂いが生じ、愛情から恐れが生ずる、愛情を離れたならば憂いは存在しない、どうして恐れる事があろうか」
随分愛というものに懸念を示していますね。
そう、お釈迦様のお示しの通り愛とはとても危険な感情です。なぜか?愛は様々な感情に変化するからです。愛するものを失う悲しみや怒り、そして憎しみ。
その根底にあるものは、思い通りにいかないという苦しみなのです。
愛は執着を生みやすい感情です。
私自身も愛による執着に苛まれる事がありました。
子供の時に犬を飼っていました、とても愛おしくて餌をあげ、散歩に連れて行き、犬が喜ぶ事をできる限り何でもしていました。
でも、私の気持ちとは裏腹に言う事を全く聞かないのです。
吠えられたりする事もありました。そうなると私中に段々と「こんなにも、愛情を持って世話してやっているのに」と言う、不満が募っていきます。
犬は敏感です、益々言う事を聞かず悪循環になるのです。

でも、大人になって考えてみておもいました、私が犬に向けた愛とは只の気持ちのおしつけだったのです。
では、お釈迦様はどんな気持ちを大切にしているのか?
それは「慈悲」です。
慈悲とは、他者の喜び、苦しみを自分の事の様に受け止め共にする事です。
テレビ等で災害や事故等の報道を観て胸を痛めたりした事があると思います。
見ず知らずの人でも困っていれば手を指しべたり、声をかけた事、きっと皆さんあると思います。
目的もなく相手も選ばず湧くこの純粋な思いやりの心が「慈悲」なのです。
愛は幸せを生み、心を満たしてくれます。でも取り扱いを間違えれば自分自身を苦しめる毒にもなります。「慈悲」の心を持つことで私達は優しく本当の愛を持った生き方ができるのです。

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