曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

諸行無常 []

三重 光明寺 住職 山口正倫 老師

 ある朝、本堂掃除をしておりました。
 最近は掃除機を使っての掃除が主になっております。その日も掃除機を使っておりましたところ、後ろで「ガラガラ・ガキーン」と大きな音がして掃除機は止まってしまいました。
 あれれ、故障だ、と電気店さんに修理をお願いしに持って行きました。
 数日して、電気店さんから、
「あの掃除機はモーターが壊れてしまいました。かなり古い機械なのでもう修理ができません。」と戻ってきました。
 そうか、毎日使わせて頂いた掃除機君、いよいよお別れの時が来たのか、と機械の横に貼ってありますシールを見ましたところ、この掃除機は昭和63年にある方が、お亡くなりになられたお父上の供養のためお寺に奉納されたものだったのです。
 なんと三十年あまりお寺の本堂をきれいに保つお手伝いをしてくれていたのです。そういえば最近、音が大きくなった割には吸い込みの力が弱くなったなあと感じていました。
 ふと、掃除機を見ていて我が身に重なりました。私は今年で58歳になります。日本人の平均寿命からみればまだまだ若い内に見てもらえるのでしょうが、中間点はとうに過ぎました。体重は学生時代の1,5倍に増えてしまい、身体は生活習慣病になってしまいました。いつ「ガラガラ・ガキーン」となっても不思議はありません。
 仏教の入り口は「諸行無常」です。私はこのことばを「変わらないものはない」と受けとっております。曹洞宗の日用経典であります「修証義」第五章中にも、「光陰は矢よりもすみやかなり、身命は露よりももろし。」とあります。この世にあるものはあっという間に変化をしてしまいます。私の体重や体調も、三十年がんばってくれた掃除機君の故障も、この世にある以上は変化を免れません。
 遅かれ早かれ、いずれはこの世とお別れをしていく身です。明日のことはわかりません。だからこそ今日一日のご飯をどうおいしくいただくか、を生活の課題にしてみようと思っています。
 電気店さんに引き取られて行く掃除機君を合掌で見送りました。
 

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