曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

気づき []

三重 大泉寺 伊藤峻悦 師 

 最近、人権について学ぶ機会がありました。差別は悪いこと、自分は差別なんかしないと考えている人も多いかと思います。私自身もそうでした。ですが、気づけていないだけで、誰しもが少なからず偏見や差別意識を持っているのでは無いでしょうか?私自身の話になりますが、今までは男友達に何気なしに「彼女できた?」と聞いていました。ですが、男友達に男性のパートナーがいるかもしれない。友達の中には私のこの質問に戸惑っていた人もいたかもしれません。そんな想像ができておらず、ふと出た言葉で、人を傷つけることもあるということに気づかされました。また、聴覚障害者の話ですが、映画館で日本映画には字幕が無いので見たことがない、聞こえない人への配慮が無いという話を聞き、ハッとさせられました。現状、日本映画に字幕があるものもありますが、数や場所などが限られています。みなさんは気づいたことがあったでしょうか?今、当たり前と思っていることは本当に正しいのか?私も勉強して初めて『気づき』を得ることができました。差別とは悪意がないものが大半です。それは、個人の責任ではなく、知らず知らずのうちに、社会から刷り込まれた偏見や間違った情報によるものだからです。つまり、私たちは常に自分を省みながら生きていかなければならないということです。先に述べたように気づけていないだけで、世の中には確実に差別はあり、そんな社会に私たちは今、生きています。誰一人として無関係ではありません。何もせず立ち止まっていれば、差別を支えることに繋がります。みなさんには是非、好奇心を持って積極的に人権を学んでいただきたい。学び、『気づき』、またそれを誰かに発信していく。共有していく。そうして少しずつでも人権の輪が広がっていけばと思います。人権を学ぶということは、自分を大切にすること、また、周りの方を大切にすることになり、今ある命を大切に生きるということになります。
『気づき』とは希望であり、成長に繋がります。

『天上天下唯我独尊』
この世のありとあらゆるものはみんな、尊くて、平等であると。

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