曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

思いやりの心 []

静岡 喜雲寺 住職 成田伸明 老師

私たちが、この世の中を生きていく中で、「思いやりの心」を持つことが大切だと言われています。しかしながら人はつい自己中心的な考え方になりがちです。
 みなさんは、車を運転しているとき、自転車に乗っている人のマナーが悪いと思ったことはありませんか。道路を二列三列になり話に夢中になって運転している人、また、スマホ等を使用しながら運転している人などを見かけることがあります。そのような人を見かけると大体の人は「危ないから、もっと車のことを考えて運転してくれれば」と感じるはずです。それでは自転車に乗っている人はどのように感じているのでしょうか。たぶん「この車の運転はあぶないなあ。もっと自転車のことを考えて運転してくれればいいのに」と感じている人は少なくないのではないでしょうか。車が自転車のそばをぎりぎりで運転していたり、交差点などで急に出てきてぶつかりそうになっていたりしているのを見かけることがあります。このことから分かるように、人は自分を大切に思ってしまうことから、自己中心的な考えが生まれてしまいます。
 しかしながら、この世の中の人が全員、自己中心的な考えばかりだとどうなるでしょうか。自分さえよければ他はどうなろうとかまわないなどという、あまりにも身勝手な考えが広がり、世の中が回らなくなるでしょう。
 曹洞宗の大本山永平寺を開かれた道元禅師は「利行は一法なり、あまねく自他を利するなり」とお示しになられました。「利行」とは「見返りを求めない、無条件で相手のためになる行い」という意味です。つまりは、すべての人に「思いやりの心」で向き合いなさいということです。
 すべての人がこの世の中を幸せに生きるためには、お互いに「思いやりの心」をもって支えていく「利行」の実践が必要です。人との繋がりの希薄さが大きな社会問題になっている現代社会にとって、今こそ自分自身に目を向けなければならないのではないでしょうか。今一度自分の心に目を向け、心の中にある「思いやりの心」を思い出して下さい。そうすれば自ずと世の中が幸せになっていくと思います。

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