曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

どこまでいっても []

岐阜 正林寺 荒田章観 師 

孫悟空というキャラクターをご存じかと思います。西遊記という物語の中で玄奘三蔵法師と天竺への旅を共にしたお猿さんです。
そんな孫悟空ですが、玄奘三蔵法師に仕える以前は天上の世界に住むひどい乱暴者でした。毎日天の神々を困らせて遊んでいましたが、ある時お釈迦さまから「孫悟空よ、お前の行いは目に余る。だが、もし私の手のひらの上から外に出ることができれば、これを許してあげよう」と言われました。孫悟空は「そんなことは簡単だ」と、光のように速い雲である筋斗雲に乗って世界を飛び回り、またたく間に世界の果ての柱までたどり着きました。しかし、それはお釈迦さまの指で孫悟空は結局どこへも行けてはいなかった。そんなお話があります。
七佛通戒偈(しちぶつつうかいげ)という短いお経があります。意訳も入りますが、「悪いことは絶対にしない 良いことは進んでおこなう そうやって自分の心をきれいにしていく それが仏様の教えだよ」そんな内容のお経です。
孫悟空が手のひらから出ることができなかったのは当たり前です。彼は乱暴者ですが悪いことと良いことを知っていました。だからこそ、お釈迦さまの教えからは逃げることができなかったのです。
「なんだそんな簡単なことか」そう思われるかもしれません。また、「仏教はなんて難しく、修行は厳しくて、自分はとてもできることではない」そう思われるかもしれません。ですが、いずれにしても私たちはそれと知らずともお釈迦さまの教えにどっぷりと浸かっているのです。孫悟空のようにお釈迦さまは常に隣にいらっしゃいます。ですからどうぞ安心してお釈迦さまに見守られながら、良いことを進んでおこなっていただけたらと思います。

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