曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

布施の姿 []

静岡 延命寺 住職 後藤浩文 老師 

「布施」とは誰かに対して施しをすることです。一般的には、お金のことだと思われがちですが、それだけではありません。言葉や行動、態度や知識など、形のないものでも、誰かの為にしてあげたいと施しの気持ちをもって与えられるものは全て「布施」といえます。ここで大事なのはその施しに見返りを求めないということです。
先日、あるおばあさんが、両手いっぱいのお花をかかえてお墓参りにいらっしゃいました。
「こんにちは。沢山、お花をお供えされるのですね。」
と挨拶をすると、おばあさんはにこやかに次のようにお話をされました。
「以前、しばらくお墓参りに来られなかった時がありました。久しぶりにお参りに来てみると、お墓のお花がとても綺麗になっていました。不思議に思ってお隣のお墓を見てみると、同じお花が供えられていました。お隣さんが私のところのお花も替えてくださっていたのです。ありがたいなぁと思うと同時に申し訳なくも感じました。
 後日、お墓参りをした時には、勝手とは思いながら、お礼のつもりでお隣さんのお墓にもお花をお供えさせていただきました。すると、その次には、お隣さんがまた私のところのお花も替えてくださったのです。
 それ以来、お墓参りには、お互いのお墓にお花をお供えするようになったのですよ。お隣さんには、まだお会いしたことがないのですけれどね。」
 おばあさんもお隣さんも見返りを求めず、お互いに相手の為に親身になってお花をお供えされていたのです。これもまた立派な「布施」の姿です。私はこの話を聞いて、なんだか心がとても温かくなりました。
 お墓に綺麗なお花が供えてあるのを見ると、私はいつもそのおばあさんの笑顔を思い出します。

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