曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お袈裟に学ぶ [1791 H26年12月1日〜12月7日]

愛知県 東泉寺 副住職 前川愼生 師

 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という、ことわざがあります。内容はともかくとして、お坊さんといえば袈裟を着ているものであるということが一般にも浸透している証ではないでしょうか。お袈裟とは、仏道修行者のための衣服です。お坊さんだけでなく、在家の方も身につけることができます。皆様の中にも、菩提寺の名前が入った輪袈裟や、御授戒に参加をして絡子をお持ちの方もいることでしょう。
 お袈裟をお作りになったのは何を隠そう釈尊、お釈迦様その人です。釈尊に帰依していたマカダ国のビンビサーラ王が、仏弟子と他の修行者を見間違うと告げたことで、仏道修行者にふさわしい衣服をお作りになったのでした。そういう意味では、制服とかユニフォームと言ってもいいかもしれません。増一阿含経という経典の中には、目の見えない阿那律尊者がお袈裟を縫おうとしているところに釈尊がお越しになり、自ら針に糸を通し裁縫を助けたという、読んでいると泣けてきそうな話が記されています。
 お袈裟は、細かな布を縫い合わせて作られています。捨てられ、社会的に価値が無くなった布を用いたためです。たとえ反物のような長い生地が手に入っても、短く断ち切り、縫い合わせなければなりません。物への執着を生まないように慎重に考え、作られているのです。こうして見ると、お袈裟とは、それ自体が釈尊の説く修行生活そのものであることが分かります。釈尊が説いた法が、形となったのがお袈裟なのです。
 私たちの曹洞宗は特にお袈裟への信仰があつく、道元禅師も著書の中で、お袈裟の重要性を再三にわたって説いています。また道元禅師が身につけていたお袈裟は、瑩山禅師へ伝承され、その後の祖師方を経て今なお現存しています。まるで本人のように、大切に扱われてきたことが分かります。
 我々僧侶も、日々の生活でお袈裟を身につけます。修行というと何か特別なことをするかのようですが、実はそうではなく、普段の生活や、自分自身の態度、それがそのまま修行です。皆様も修行者です。お袈裟は私たちを守り、修行を支えてくれます。お持ちの方は大切にしましょう。

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