曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お米一粒 []

静岡 松雲寺 住職 齋賀宝道 老師 

飢餓で苦しむ人が8億1500万人いるという記事を見て、私が幼い頃に祖母から教えられたことをふと思い出しました。
それは、「お米一粒、一粒には仏様がいるの。だから一粒、たった一粒でも残してはダメよ?」と教えられました。それから私は、祖母に教えられた一言を胸に、お茶碗に入ったお米を一粒も残さず、大切に頂いています。
ある禅語に「一粒万々倍」という言葉があります。「一粒の小さな茶の種が、やがては万倍となり豊かな茶畑になる。始まりがどんなに小さな物事でも、一つ一つ丁寧に育めば、やがて万倍となり必ず形となって残っていく。」という意味です。
その一粒が大勢の人や自然の凝縮であり、多くお陰様の姿が表れています。お米一粒はとても小さな物ですが、日々の小さな努力と修行の積み重ねが大きな仏様の光に包まれるという希望が感じられます。
どんな僅かであっても、道を求める心が少しでもあるのならそれを一心に磨けば素晴らしい実が結ばれることが示唆されています。それは、たとえ小さな一歩でなかなか結果が見えてこなくとも、日々精進していけばそれが大きな何かに結びつくのです。
それには、大切に育てられたお米一粒一粒に宿るお陰様を感じていただく感謝の心が大切だと思います。食事を通して、一つ一つに感謝し始まり感謝で終わる食事の修行と心得ます。五観の偈の「一つには功の多少を計り、彼の来処を量る、五つには成道の為の故に今この食をうく。」と結ばれる道元禅師の教えが身にしみます。

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