曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

梅の花に想う []

愛知 威音院 中村元紀 師 

毎年、冬の終わりと春の訪れを最初に知らせてくれるのが、境内にある鮮やかな赤い花を咲かせた梅の木です。
「雪裡の梅花只一枝」という禅語がございます。
 深い雪の中にあっても必ず花は開くという事です。
どんなに困難で厳しい事があっても悟りはそこにある。だからこそ目の前の状況だけで仏道修行の歩みをやめてはいけないという事です。
私達は目先の事に心振りまわされ、物事の本分を忘れてしまう時があります。
 コロナ禍において私達の生活は変化し、思い通りにいかない事が多い世の中になりました。
そんな世の中に生まれた○○警察というものがあります。
 マスクをつけていない他人を攻撃するマスク警察、自粛警察等。困難な世の中になり自分を見失う人が増えてきたように思います。
 確かに心の余裕を保ちがたい状況です。私も公共の場でマスクをつけていない人や自粛にも関わらず生活を変えようとしない人たちへ言葉には出さずとも攻撃的な思いが芽生える事もありました。
 あるとき車で信号待ちをしていると一人の中年男性が運転席の窓に詰め寄ってきました。
窓を開けると凄い剣幕で「マスクくらいしろ!このクソ坊主」と怒鳴られたのです。
 最初は怒りが湧きましたが、同時に言葉というのはこんなにも人の心に痛みを与えるものかと実感しました。
 もしかしたら、この男性はどこかで痛みを抱えその思いが私への怒りとなったのかもしれません。
かくいう私もこの様に無自覚に人を傷つけていたかもしれない。
 こんな不安な世の中で、多くの方が痛みを抱えています。その場の感情に任せれば負の連鎖になっていきます。
 痛みを受けたから誰かに痛みを与えるのでは無く、痛みを知っているからこそ相手を思いやる。
 これが今私達に必要な生き方なのです。
 不安だらけの世の中です。そんな時こそ目先の事に、心振りまわされないようよりいっそう自分を調えていく事が必要なのです。
 それが、どんな厳しい冬でも必ずひらく梅の花が私に与えてくれた大切な教えです。

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