曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

令和のお盆から []

愛知 大龍寺 住職 野々村晴之 老師 

元号が改まり、一つの大きな時代の節目に世間はおまつり騒ぎでした。大化の改新から二四八番目の元号と云われますが、古来より新たな年に変わる度に、私共は気持ちを新たにして、次の時代に希望を抱いてきたのです。日本でのお盆は、お正月と同じように年間での節目の行事で、気持ちを新たにする時です。日本では昔から、正月十五日を上元(じょうげん)とし、七月十五日を中元(ちゅうげん)そして、十月十五日を下元(かげん)と呼びました。そして一年を二つにわけて、正月と七月をその始まりとしたのです。お歳暮とお中元・年賀状と暑中見舞い。慣習から、そこに根付いていると感じます。私共僧侶は、この時期にお年賀に対し盆賀(ぼんが)と書いて、お師匠さんやお世話になっている僧侶に中元の挨拶をします。また昔の一般的な呼び名に盆歳暮(ぼんせいぼ)といった言葉があり、お正月とお盆との関わり合いが濃厚であったと気づきました。節目や始まりに際し、今於かれている健康や生活環境などを訊ね思いやりの心を向ける行いは、お釈迦さまの教えとなる、慈悲の心であり、奥ゆかしい日本の文化でもあると感じます。心を新たにし、今の自分に目を向け、この命を繋いでくださった先祖を敬う行いは、お盆でのご先祖供養の始まりであります。お盆の先祖供養は、最も古い仏教行事と云われます。インドで行われていた農耕儀式と、お釈迦さまが所定の場所にとどまって修行する安居(あんご)の修行を終えるとき、お釈迦さまとお弟子たちが行った反省会を習合したものと伝えられます。日本では古い記録が残されており、仏教が伝来して間を置くことなく営まれてきました。今年は、新たに令和で迎えるお盆です。新鮮な気持ちの供養からご先祖さまを想い、今の自分を見つめ直してみましょう。「他と共に生きている自分」「他と共に生かされている自分」そのような思いが薄れている現代。今一度、新しさに何かを求めることだけでは無く いにしえの中から自らを省みるときなのです。

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