曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

真実を見つめる [1833 平成27年9月21日〜9月27日]

愛知 松月寺 徒弟 佐野裕昭 師

ある壇信徒さまのご自宅にお参りに伺うと思い出すことがあります。

その日は、12月下旬のとても寒い日でした。お参りをしながら、お仏壇を見上げると、クリスマスケーキのお供えがありました。

その時、私はお仏壇の中にキリスト教にご縁がある、洋風なお供え物と考え、違和感を抱きました。数年後、その方のご自宅でご法事の際に、真意を知ることになりました。今から数十年前、クリスマスの数日前に大切な息子さまをご病気で亡くされていたのです。「もっと早く気づいてあげれば良かった。もっと早く病院へ連れて行けば良かった。」と今もなお、後悔と計り知れない深い悲しみを秘めていらっしゃったことを知りました。クリスマスケーキは、息子さんに食べさせてあげられなかった気持ちを含めてのお供えであることを知りました。

法句経というお経の中に、「まことではないものを、まことであると見なし、まことであるものを、まことではないと見なす人々は、あやまった思いにとらわれて、ついに真実(まこと)に達しない。

まことであるものを、まことであると知り、まことでないものを、まことではないと見なす人は、正しき思いにしたがって、ついに真実(まこと)に達する。」
という言葉があります。
わたしは自分勝手な色眼鏡で、そのクリスマスケーキを見つめ、壇信徒さまの大切なご供養のお気持ちに心を傾けることが出来なかったことに、恥ずかしさを感じました。単純な思い込みで判断しては、物事の本当の姿を知ることが出来ない。それによって人のお気持ちを傷つけてしまうと反省しました。一つのお供え物にも、様々な思いが込められているのだと気づかされ、今後壇信徒さんとも、心から向き合って参ります。

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