曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

いのち輝く []

三重 大仙寺 住職 伊藤訓之 老師

2016年、平成二十八年一月二十日、夜の十時四十八分、私はお爺ちゃんになりました。私の息子夫婦に子どもが生まれたのです。
 息子からの、「まもなく生まれるかも」という報告を受け、居ても立っても居られなくなった私と妻ともう一人の息子は、病院に駆けつけました。妻は病院の廊下で、私ともう一人の息子は病院近くの喫茶店でその時を待ちます。「まもなく・・」という言葉とは違い長い時間が流れます。喫茶店の私たちは電話を見つめながら口数も少なく時を過ごします。「誕生日、今日かなぁ、明日の二十一日になるかもなぁ」と話している時に電話がなりました。妻からです。「生まれたよ。お母さんも元気やよ」「もう少しで面会できるみたいやよ」
日付が変わろうとしている頃、孫との面会です。静かに音を立てないようにそっと扉を開けると、父親になった息子が目を真っ赤にして我が子を愛おしく見つめています。隣のベッドでは大変だった母親がぐっすり眠っています。私たちも生まれたばかりの赤ちゃんをそっとのぞき込みます。
 ついさっき、たった今、お腹の中から出てきたその子は、何事もなかったように、大きな目を見開き小さな手足をいっぱいに動かしています。のぞき込んでいる私たちを大きな瞳で見ています。お婆ちゃんになった妻が言います。「爺ちゃんの方目でおっとるよ」
確かに私が少し顔を動かすと同じように一生懸命に目を動かします。口も動かしています。手も足も指も一生懸命動かします。精一杯生きようとしています。
 まだ名もない新しい命は、まぶしいくらいの輝きです。
その姿はまさに、「願生此娑婆国土しきたれり」です。「この世の中に自ら願って生まれてきたのだ」という教え、そのまんまです。
そうです、すべての「いのち」は、願って生まれ、生きることを願っているのです。だからこそ、この「いのち」は大切な、大切な、輝きあふれる尊い「いのち」なのです。
四月八日はこの教えを説かれたお釈迦さまの誕生日です。自らの「いのちのかがやき」と共に喜びましょう。

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