曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

世の無常 []

静岡 慈光院 住職 鈴木光洋 老師

 お通夜の席でお読みするお経に、「仏遺教経」というお経があります。このお経は、お釈迦様がお弟子様方を集められて最後に残された言葉です。これは現在で言う遺言であり、それをお経にしたものです。この経の中に、「世は無常なり、会うものは必ず離るる事あり、憂悩を懐くこと勿れ世相是の如し」という一文があります。これは、「世の中は、みな無常である、出会った人とは必ず別れがやってきます。だからと言って悩んだり、憂いを持つ事はありません。それが、この世というものだから」という意味です。生きている物全ては、生まれた以上、死と向きあって生きていかなければならないのは事実であり、それがこの世の中の常識でもあります。しかし、人間は全ての人がそうだと思いますが、死というものを意識して日々生活している訳ではありません。いざ別れに直面すると、世の無常を感じ、悩み、憂いを持ってしまいます。ましてや、自分の親・兄弟・親しい友人・自分自身との関わりが深く、親しければ親しい程、別れは受け入れがたく、その事実さえも信じる事がなかなかできません。お釈迦様が言う様に、「憂悩を懐く事なかれ、世相是の如し」とはいきませんが、これからの日々をどう過ごしていくかで少しは世の無常も和らぐのかもしれません。日頃より、どんな関係であれ、おたがいの事を尊重し、どんな時でも感謝の言葉を伝える、そういった引き継ぎ、引き継がれていく関係を作っていく、作っておく事で、世の無常という悲しみも、ほんの少しであるかもしれませんが、和らぐのではないでしょうか。

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