曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

円柱を切ってみたら []

東海管区教化センター 渡邊信行 統監

お釈迦様がお悟りを開いたすぐ後に説かれた華厳経という教えの中に「牛が水を飲めば乳となり、蛇が水を飲めば毒となる。」と云う言葉があります。牛が良くて蛇が悪いと云っているのではないのです。一つ事、同じ事柄であっても、夫々の立場によって解釈も違い、そこから発生する作用方法も変わってくると云う事でしょう。
人は皆、自分の生まれ育った環境により、又、教えられた事、或いは経験した事が様々です。そしてそれが判断基準のべ−ス、物差しとして自分の世界観となり価値観となっているのでしょう。
例えば、あなたは山登りを目指す時に、多少の危険を伴うような険しい道だとしても、少しでも早く頂上に着きたいと思うかもしれませんが、他の人は、もっとゆっくりウネウネと曲がりくねった道を時間が掛っても構わないよとしていくかもしれません。山の頂を目指すという事、目的は同じでもその道筋は決して一つではないのです。
どちらが良くてどちらが悪いという事はないはずです。
皆が同じ世界観を持ち、同じ価値観を持てば話は早いのでしょうが。それは不可能な事なんです。
夫々の人が独自の価値観を持っているのです。
ですから「こうでなければいけない、こんな風ではいけない。」などと枠を決め型にはめてしまう事はどうでしょうか。
人が人を見て評価を下す。それはある一面だけを見ていることが多くありませんか。人の全体を見極めるなんて事は容易な事ではありませんよ。
例えば同じ円柱でもその切り方によって現れる切り口は様々です。縦に切れば長四角、真横に切れば満丸の円です。斜めに切れば楕円形です。
同じ円柱であっても、このように切り方によってさまざまな姿を見せるのです。この切り方が夫々の人の世界観であり価値観と云えるでしょう。
この事を考えて人に接していきたいものと思います。

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