曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

どこからかこんな声が []

静岡 保福寺 佐々木和也 師 

「もう、危ないなあ。決まりを守れ。」
 これは早朝、私が時折口にする言葉です。
実は、私は十数年前から、毎朝のジョギングを日課にしています。寝ぼけまなこを擦りながら、軽く準備運動を済ませ、道路に走り出ると、まだ明けあらぬ早朝とはいえ、様々な人に出会います。同じようにジョギングをする人、朝帰りの人、空港行きのバスを待つ人々。そして時々、かなりのスピードで走るバイクや自転車に出会います。
まれにバイクが歩道を走ったり、逆走したりしていることを目にします。すると、歩道をジョギングしている私の行く手を塞いでしまったり、まれに鉢合わせになってしまったりすることがあるのです。
先ほどの言葉は、そんな時の私の口から出るものです。
しかし、その先もジョギングを続けていくと、ウォーキングをしているお年寄りを無理やり追い抜き、びっくりさせてしまったり、信号を守らずに先を急いだりする私の姿が、そこにはあります。こんな時、どこからかこんな声が聞こえてきそうです。
「もう、お前も危ないなあ。決まりを守れ。」
 決まりを守らないことに憤る私が、決まりを守っていない。ここには自分の都合だけを考えて行動する私の心が、映し出されているのです。人の行いというものをよくよく見てみれば、まさにそれは、自分の行いの鏡であると言えるのです。
 明日の早朝、もし無謀なバイクや自転車を見る事があったら、それを自分に置き換えて考えてみたいと思います。

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