曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

情報との距離の置き方 []

静岡 西照寺 有田光佑 師 

現代はインターネットが日常に溶け込み、誰もが簡単に情報を発信し、他者とつながる時代となりました。旅先での写真を思い出とともに公開して、世界中から感想や共感を得ることも出来るのです。ただその一方で、他人の華やかな投稿を見ては自分と比べ、劣等感や嫉妬を抱くこともあると思います。仏教では、このような心の状態を「執着」と呼びます。人はそれぞれ違っていて、誰もがかけがえのない尊い存在ではありますが、「もっと認められたい」「羨ましい」という欲求に囚われ、自ら苦しみを生み出してしまうのです。
 このようなときには、仏教の「無常」という教えが心の支えとなります。すべてのものは常に変化し、永遠に続くものはありません。羨望の眼差しを向けられている有名人の成功や見た目も、やがて移ろいゆくものです。次の人生に持ち越すことも、変わらずに保ち続けることもできません。だからこそ、戻れない過去でも、不確定な未来でもなく、今を大事にすることが心を安らかにしてくれるのです。
 人前で披露されているものは、他人からよく見てもらう為に作りこんだ一瞬を切り取ったものでしかありません。極端にインターネットを避けるのでもなく、依存するのでもなく、適度な距離感を保つこと。心のバランスを保つことが、現代を生きる私たちにとって必要なことなのです。仏の教えは、いつの時代も私たちの心を照らしてくれます。情報の波に飲まれそうなときこそ、仏の言葉に耳を傾けてみましょう。そこには、比較や競争から離れ、ありのままの自分を受け入れる智慧が示されています。自分を責めたり、他者を羨んだりせず、ただ今この瞬間を感謝とともに生きることが、心の安らぎをもたらしてくれるのです。

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