曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

愛語を生む心 []

愛知 安性寺 柳澤宏昭 師 

コロナ禍が始まり三年目となりますが、いまだ終息の兆しは見えておりません。
それだけではなく、海外では紛争や戦争が起きている所もあります。
多くの悲しみが世界に広がる今、どのような心持ちで日々を過ごせばいいのかを改めて考えさせられます。
曹洞宗の経典、修証義というお経に『愛語よく廻天のちからあることを学すべきなり』というお言葉があります。鎌倉時代の僧侶、道元禅師のお言葉です。
道元禅師は、『他者を思いやる言葉は、世相を変え、社会を救う力がある。』とおっしゃるのです。まさに、今必要な教えなのではないでしょうか。
しかし、苦しみの渦中では、他者に対する思いやりを持てなくなってしまうのが、ある意味で人間の性だと思います。
コロナ禍に対する対応においても、感染拡大を防ぐためには家から出歩くなんておかしい。と考える方もいる一方で、今まで同様に仕事を続けなければ経済的に困窮し、自分や家族を守れないという方や自粛はもう限界だという方もいます。
互いに異なる考えを否定し攻撃をしてしまうこともあるかもしれません。
実は私自身、お寺の日々の勤めにおいて今までのあり方を護らなければならないと考え、自粛を促されることに否定的な思いを持った者の一人です。
マスクをしてお経を読むことにもとても違和感を覚えました。
ただ、自分の考えや感情のみで行動してしまっては、他の人を害し、世の中には苦しみばかりが広がってしまうと思うのです。
大切なのは、相手の心に目を向ける事ではないでしょうか。
私も、自分自身が、コロナ禍での変化に苦しんでいるのと同じように、他の人もまた、感染や死に対する恐怖はもちろんのこと、家族・親族に満足に会うことができないなど、様々な苦しみに直面しているという事が分かったことで、自らの行動や言葉が、相手を不安にさせることがないだろうかと省みることができました。
相手も自分と同じように苦しみの中にいるんだという事がわかれば、他者への理解が生まれ、自ずと思いやりの言葉も出てくるのではないでしょうか。
それは巡り巡って、いつしか自分をも救う言葉となるはずです。
一人一人が他者への理解を深めようと心がけ、互いに尊重し合う時、世界の在りよう、人類の行く末は明るく希望に満ちたものになると信じています。

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