曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

自分を観察してみる []

愛知 常林寺 菅生泰礼 師 

仏教は、約2500年前にお釈迦さまがこの世の真理を悟られて、人々を様々な苦悩から救う教えです。その教えを基に、より良く、正しい生き方を実践することによって、苦悩から解放され、より豊かな人生へと繋がっていくのだと思います。

 では、より良く正しく生きていくにはまずどうすれば良いか。それは3つの大事な決まりを守り実践することです。これを三聚浄戒(さんじゅじょうかい)と言い、
1つ目が摂律儀戒(しょうりつぎかい)
2つ目が摂善法戒(しょうぜんぼうかい)
3つ目が摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)です。
 簡単に言うと、悪いことをしない、善いことをする、人の為になることをする、ということです。これらは子どもでもわかることだと思いますが、常に実践するというのはなかなか難しいのではないでしょうか。特に最初の悪いことをしないというのが難しく、例えば、つい夜更かしをしてしまう、やるべきことを後回しにしてぎりぎりにやってしまう、余計なひと言を言って人を傷つけてしまうなどなど、悪いとわかっていてもやってしまうことは、挙げればきりがありません。植木等さんの歌にもありますが、「わかっちゃいるけどやめられない」のが人間の性(さが)です。

この人間の弱い部分をほったらかしにするのか、それとも見つめ直して行動を変えるのか。見つめ直すためには、自分を観察してみることが大切だと思います。感情に任せて動くのではなく、少し立ち止まって自分を観察してみます。その時の自分の感情、身体の様子を俯瞰して見ることができれば自ずと視野が広がり、行動の選択肢が増えてくるでしょう。何かと忙しない世の中だからこそ、急がず、焦らず、少しだけ立ち止まってみましょう。

そして、悪いことをしないということはそのまま善いこと、あるいは人の為になることに繋がっていきます。先ほど挙げた例でも、夜更かしせずに早く寝れば身体にとって善いですし、やるべきことをすぐにやれば余裕を持って次のことに臨めます。余計なひと言を言わなければ人を傷つけません。

全ての行動で実践するのは難しいかもしれませんが、たまにはふと自分を観察してみてはいかがでしょうか。心や身体に余裕が生まれ、より良い、正しい生き方に繋がっていくと思います。

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