曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

尊い命 []

愛知 照徳寺 鬼頭賢光 師 

今から二千六百年ほど前の四月八日、草木が芽吹き、たくさんの花が咲く、そんな春めくインドのルンビニという花園でお釈迦さまがお生まれになりました。お釈迦さまは、生まれてすぐ七歩歩き、右手で天を、左手で地を指し、第一声『天上天下唯我独尊』と産声を上げられました。
 『天上天下唯我独尊』、言葉通りに解釈しますと、「この世の中で自分だけがただ一人尊いものである」という、うぬぼれのような意味に聞こえてしまいます。ですが、そうではありません。このお言葉は、私たちも含めた命あるものすべての尊さを示された、お釈迦様の最初のメッセージなのです。お釈迦さまは「この世の中で私たち一人一人の命はかけがえのない、とても尊いものである」と伝えてくれているのです。
こうして改めて考えてみますと、私たち一人一人はなんと尊い存在でございましょうか。私がこの世に生まれることができたのも、両親がいてくれたからであり、その両親は四人の祖父母によって生まれました。このようにして十代先までさかのぼるだけで二千人もの大勢のご先祖様がいたことになります。さらに三十代までさかのぼれば、ご先祖様は二十億人を超えてくるのです。そのうちの一人でもいなければ、今の私は存在していません。数えきれないほどのご先祖様が一生懸命働いて、努力して、大切に子孫を育ててきたのです。ご先祖様のおかげで私は、今ここにいるのです。私たちの命は、そんな尊い命なのです。
そんな尊い自分を実感し、この世に産んでいただいたことへの喜びの声が、お釈迦様の最初の産声『天上天下唯我独尊』だったのではないでしょうか。
私も、お釈迦さまと共に、すべての尊い命を敬う心を持って、日々を過ごしていきたいと思います。

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