「ほほえみひとつ 涙ひとつ 出逢いも 別れも 抱きしめて 生きてる今を
愛してゆこう」
これは、曹洞宗梅花流詠讃歌でお唱えになる「まごころに生きる」という曲の一節です。歌手の南こうせつさんが作詞作曲されました。
私たちが生きるこの世界では、あなたも、私も、誰もが、出逢いと、別れを重ね、生きています。
長く連れ添うような出逢い、人生を左右するような出逢い、時に辛い別れ、忘れられない悲しい別れ、それは、大人でも、子供でも、赤ちゃんでさえも、思いがけなく出逢いも、別れも、おとずれます。
その時、私たちはどう受け取っているでしょうか。
私はある時、お連れあいを亡くされ、沈み込んだ表情で気力をなくしたご様子のご婦人に出逢いました。
なにか出来ることはないかと、お寺で主催した観音さまの霊場を巡礼するお参りの旅にお誘いしました。
十数名のお檀家の方々と共に、幾つもの寺院を巡り、それぞれのお寺の
観音さまと出逢い、手を合わせ、読経し、礼拝をして御朱印を頂く。
そんな道中で、ほほえみながら、共に巡る仲間と談笑する姿を見かけました。始まった頃とは明らかに違う、柔らかな表情で嬉しそうに笑うその姿。
嬉しい出逢いは、そのままに。辛い別れは、仏さまにお助け頂く。嬉しい出逢いも、辛い別れも、両方自分の胸に大切に抱きしめられるその時が来るまで、あわてずに、ゆっくりと ただただ、仏さまの前で静かにお手をあわせ、あとは、仏さまにおまかせする。
「そよ吹く風に小鳥啼き 川の流れもささやくよ 季節の花はうつりゆき 愛しい人は今いずこ ほほえみひとつ 涙ひとつ」
出逢いも、別れも、どちらも抱きしめられたその時、生きてる今を愛してゆけるのだと思います。
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