曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

こだわりを減らす []

愛知 浄通院 大山盛弘 師 

本日は、私達が幸せに生きる為には「こだわりを少なくすることが大切である」という
ことについてお話したいと思います。お釈迦様は安らかな生き方をするには、まずは「こ
だわる」ことを減らして生きていくべきであ ると説きます。しかし、私達の生活には「こ
だわり」は多く存在することに、叔父との会話で気 づきました。
叔父は定年退職後、地域福祉活動に力を注いでまいりました。そのお役目も今年いっぱい
で卒業 するとのことであります。叔父が寂しそうに私に言いました。「最近体がだんだん
と重くなり、思うように動かなくなってきたんだよ」「朝起きるのも辛いし、 すぐに息
切れを起こすんだ」「週5日行っていた福祉活動は来年になるとすべて無くなるから、生
活のリズムも変わってしまう。頭や体を動かさなくなるのは、すごく心配なんだ」と言わ
れ、いつ も活発で私を励ましてくれていた叔父からは、考えもつかない言葉であり、私自
身も寂しい気持ちと なったのです。時間と共に変化していく身体の衰えは、自然の摂理と
も思え、私を含め誰しもそ れを留めることは出来ません。
般若心経というお経の一句に、しきそくぜくう くうそくぜーしき(色即是空 空即是色)とあ
り ます。「すべてのものは絶えず変化する存在であり、変わらないものはなにひとつ無
い。世の中に は変化しないものはないのだから、少なくとも自ら抱く「こだわり」はな
るべく少なくしましょ う」とのお釈迦様からの励ましの言葉があります。
まずは、世の中の現実を受け止めること。老いるときは老いる。それを受け入れる。病気
のとき は病気をする。それを受け入れる。私達にできることは、それらを受け入れる
か、受け入れな いかの選択だけであり、これが心のこだわりによる不安から私達を助け
る方法となるのです。 わかってはいるけれど、愚痴とも云える不安は止められないという
ことは多くの人が持つ悩みで あると思います。しかしそれは、自分自身がいつまでも変わ
らないという「こだわり」から引き 起こされる不安であると思うのです。

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