曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

受け入れる心 []

岐阜 龍泰寺 宮本覚道 師 

新型コロナウィルス感染症の影響で外出自粛中の時、私はStayHomeして読書に励みました。たくさんの本を読み返していると、作家であり学者である小林正観さんの「悟り」の捉え方が、今の世の中に大切なことを、私に改めて教えてくれましたので、ご紹介させていただきます。

「苦しみ」の本質は、「自分が思い通りにしたいのに、それが叶わないこと」と釈尊は見抜いていました。自分の思いが実現するまで頑張ろうとするが、体を壊したり、精神を病む人が多くなり、自分の人生が何のために存在するかが分らないという人が増えてきました。
では、この思い通りにならないことが目の前にある場合の解決方法とは何か。それは、「思い」そのものをもたないこと。「苦しみ」とは、思い通りにならないことを、思い通りにしようと思うから生まれるのです。したがって、「苦しみ」は、受け入れた瞬間から消滅するのです。生まれること、老いること、病むこと、死ぬことも、そのまま受け入れる。そうすると、「苦しみ」から遠ざかることができます。
釈尊が言った「受け入れることで楽になる」ということは、突き詰めていくと、感謝するところまでいくということになるのではないでしょうか。今、置かれている状況そのものが、実はありがたさに満ちているのではないでしょうか。
目が見えること、耳が聞こえること、呼吸ができること、食べることができること、自分の足で歩けること、話ができること。
ありとあらゆることを全部、受け入れた瞬間から、感謝になるのではないでしょうか。

実に興味深い「悟り」の捉え方です。

本日六月十六日現在、外出自粛は緩和されましたが、まだ安心して普通に過ごすことはできません。しかし、現状を受け入れた瞬間から、それでも生きていることに感謝できている自分がいます。
目が見えて「ありがとう」、耳が聞こえて「ありがとう」、息ができて「ありがとう」、食べることができて「ありがとう」、自分の足で歩けて「ありがとう」、話ができて「ありがとう」。
今、目の前に起きていることが、とてつもなくありがたいことなのです。コロナの不安はありますが、毎日をこうしてただ普通に生きている。これが、最高の幸せなのです。
法話を聞いてくださって「ありがとう」。私は、今、最高の幸せを感じております。

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