お寺の石段を下ると山門わきに、六体のお地蔵様があります。お地蔵様には、赤い頭巾と前掛けがしてあります。母が年に数回、手で縫って作っているものです。頭巾は、雨に打たれ、日に照らされて、いつのまにか色がされ、ゴムが緩んでいきます。右から二番目のお地蔵さまは、よく頭巾がぬげています。それを見た次男が、お地蔵様の台座にあがり、ぬげた頭巾をかぶせてくれますが、ゴムが緩んだ頭巾は、風が吹けばすぐにぬげてしまいます。ある時、次男から「二番目のお地蔵様のゴムがゆるゆるだから直しておいて」といわれました。手に取ると、コヶがついているところもあり、汚れていましたので、洗濯をしました。洗っては見たものの、日にさらされているので、たいしてきれいになりませんでした。それでももう少しこの頭巾を使ってもらおうと、仲びてしまった古いゴムをとりさり、新しいゴムを紐通しで通し、ゴムの端と端をしっかり縛りました。
ゴムを付け替えた頭巾をお地蔵様にかぶせると、ゴムを絞りすぎていて、「これでは頭巾がきつかろう」と思いました。一瞬「まあ石のお地蔵様だからいいか」と考えましたが、それではなんだか申し訳なく思い、きつく縛っていたゴムをほどき、何度か調節をして、かぶりやすいようにしました。
作業を終え、石段を上がりながら、ふと思ったのは、「お地蔵様にしたような気遣いが日頃できていないなあ」という反省です。だれに対しても、どんな時でも、これくらいでいいかなあという、やさしい気遣いができるようにしたいものです。
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