曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

自分の出したもの []

静岡 長興寺 森田勝准 師 

 私は子どものころ、夏休みになると、大好きな叔父と叔母の家に一人で泊まりに行き、ときには、一週間ほど滞在することもありました。
 そんなとき、毎日叔父と叔母は、私がトイレで用を済ますと、流す前に私が出したものをみるのです。お腹の調子が悪くなっていないか確かめ、健康かどうかを見守っていてくれたのです。私もそのうち、自分が出したものをみて、自分のお腹の具合を確かめるくせがついてしまいました。
 体の健康は、トイレで出したもので確かめることもできます。では、心が良い状態にあるかどうかを知るには、どうしたらよいのでしょうか。
 それには、自分の言葉や態度をみてみることが必要です。食べたものが消化され体の外に出るように、日頃の出来事や人との関係が心に取り込まれて消化され、言葉や態度となって表に出てきます。
 昨日誰かさんに投げかけたのは、どんな言葉だったでしょうか。今日、家族や友人にどんな態度を取ったでしょうか。もし、それが人を不快にさせ、傷つける言葉や態度だったとしたら、自分でも気がつかないうちに、心の具合が悪くなっているのかもしれません。
 そんなときは、無理をしないで心と体を少しでも休ませることが大切です。
 自分が出したものをじっくりと見ることに抵抗がある人もいらっしゃるかもしれません。しかし、自分が出した言葉や態度を、いやがらないでしっかりと見つめることが、自分の心の具合を知り、良い状態に保つためには必要なのです。

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