軽トラックがお寺の境内に上がってきました。運転席からお檀家の男性が下りてきました。新聞紙に包んだダイコンなどの冬野菜を荷台から降ろしながら、「今度、新しい道ができるので、畑のそばにある野の仏さんを動かすことになりました。動かす前に、お経さんをあげてください」と言われ、たくさんの野菜をいただきました。
当日、お寺から10キロほど離れた約束の場所に行くと、クヌギの木の立ち並ぶ中に、古い石の仏さまがありました。「ここに道ができるんですか」と聞くと、「このあたり一帯が道になるらしいですよ」と言われました。洗ったお米、お洗米や香花を供えそこでお経を読みました。これまで私たちをお守りくださったことへの感謝と、移動先でも変わらず、私たちをお守りくださるように願いをこめて、男性と私でお参りをしました。
お経が終わると「ほかの場所にも、お経さんを読んでもらいたところがあるから、私の車についてきてください」といわれ、近くの公民館まで行きました。車を止めると、別の方が待っていて、その方が「ここからは見えないけれど、向こうの山の中に、仏さんがあるから、この場所からお経さんをお願いします」と言われ山の方を指さしました。言われた方向に向かってお経を読みました。
土地の人たちが、心豊かな時も、悩み多く不安な時も、安心して生活したいと願い、手を合わせてきた仏さま方です。
わたしたちも地域にある尊い仏さま方に、しずかに手を合わせ、心を調わせて生活をしていきましょう。手を合わせれば、きっと尊い力が私たちの背中をささえてくださることでしょう。
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