曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

支えられ、思いやり… []

静岡 清林寺 武藤啓央 師

私は今、お寺の住職と幼稚園の園長をさせていただいています。幼稚園を15年前に、そしてお寺を6年前に、それぞれ父から受け継ぎました。以来今日まで、只無我夢中で過ごしてきましたが、この間、振り返る間もなく、いつしか年を重ねてしまった気がします。
この私自身、家族のことに目を向けますと、母が他界し早や7年が過ぎ、今は父と妻との3人暮らしです。自分もそうですが、父や妻も歳を重ね、年老いたり、病気をしたりして、以前のようには身体が動かなくなってきました。これまで父や妻が何気なくしてくれていたことを、今になっては、一つ、二つと私がするようになりましたが…それでも至らず、家族にしがみついてる私です。これまで支えてくれていた家族の存在の大きさと、自らの非力さを、ここにきて、しみじみと感じています。同時に至らない自分のことや、弱くなった家族のことを、やさしく支えてくれている、多くの方々の善意にも、あらためて気づかされます。大変ありがたいことでございます。家族のこと、お寺のこと、そして幼稚園のことも…私が気がついていようがいまいが、実はずっと前から、これらの方々や、関わってきた全てのことに支えられてきたことを、このことをありがたく思って感謝していればよいのですが、時に、「頼んでもいないのに」と鬱陶しく思ってみたり、「他人(ひと)には迷惑をかけず、自分一人でしてみせよう」とか思い上がり、独りよがりであったことを、自分自身、大変愚かであり、罪深いと感じております。
宗門の御経である修証義の中に、道元禅師は利他行の一つとして「同事(どうじ)」を説かれています。「同じ事」と書いて「常に相手の立場に立ち、同じ気持ちで共に喜び、悲しみ、寄り添って生きていく事を表しています。 家族には勿論ですが、他人に対してもよりやさしく、敬意と思いやりをもち、自分はもっと素直で、謙虚でいなくてはならないと反省しきりでございます。

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