曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

一期一会の実践 []

静岡 孤雲院 橋甲陽 師 

もう30年ほど前になります。私は関東圏に在る寺院に勤めることになりました。
 まだまだ経験も浅く未熟な私でしたが、勤め始めてすぐに檀家総代を務めるお宅の50回忌法要を依頼されました。
 後日、そのお宅にお伺いし、お経を済ませて、お茶を頂いておりました。その時です。施主のお婆さんが「和尚さん。うちの床の間にある掛け軸の意味を教えてもらえないでしょうか?」と尋ねられました。掛け軸には先住が書した「一期一会」の文字ありました。
 私は少し戸惑いながらも、辞書に書かれている様なごく普通の意味を説明致しました「一期一会とは一生に一度きりの機会という意味で、その瞬間は二度とないことを心得て誠意を尽くすべき。出会いや物事を大切にすること」と。お婆さんは黙ってにこりと笑って、頷いて下さいました。
 その後しばらく私はどうも釈然としない思いを持って居りました。何故なら、お婆さんは若くしてご主人を亡くし、ご主人の残した会社を引き継ぎ。育て上げた一人娘に社長職を譲るも今なお会長職として現役を続けている。その様な方が「一期一会」の意味を知らないとは考えられないからです。
 では何故と考え時、お婆さんは一期一会の実践を私に教えて下さったのだと気づかされました。「これからは、何時も、どんな時も一期一会の気持ちを忘れることなく、一生懸命にお勤め下さい」という𠮟咤激励だったのでしょう。
 どんなに素晴らしい意味を持つ言葉でも、実践を伴はなければ単なる知識にすぎません。意味を知り行動をすること心がけたいものです。

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