曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

命から導かれる道 []

三重 善光寺 牧野正人 師

学校の授業を受けると先ず先生が問題を出して生徒たちが答えます。それは当然とされています。ところが私たち生き物の世界は逆であります。今あること、生きていることがすでに答えなのです。その上でどう生きるのか、あるいはどう生きて来たのかと考えることが大切なのです。お釈迦さまが説かれた仏法とは生きとし生けるものをみて四苦八苦の中で私たちの生きる道(問題)とは人と寄り添い共に生きることであるとお示しくださいました。では共に寄り添いどう生きるのか。
永平寺をお開きになられました道元さまは一つには布施(ふせ)、二つには愛語(あいご)、三には利行(りぎょう)、四には同事(どうじ)と人と寄り添う生き方である四つの法(おしえ)をお示しくださいました。その法(おしえ)とは禅の教えであります。身と心をあらがうことなく自然なところに置くということです。例えて申しますと富士山の姿をご想像しながら両手で富士山の形をゆっくりと表してみてください。いかがでしょうか。描いた手は富士山の裾野(すその)まで表しますとなだらかな八という字のようになりますね。実はそこには岩がつきだしていたり、大きな穴があったり、雪があったり、動物が暮らしていたりなどと手だけではないものたちが在るのです。そのように想像を巡らして、そこに私たちの身と心を置くことが禅の教えなのです。
例えば今在る命はなぜあるかと考えますとご飯を食べて命をつないでいるからです。その上でお仕事をされたり、学んだりしているのです。そこには私たちの口に入っていく生き物の姿が見えますでしょうか。つまりご先祖さまから今までどのように命を繋いでやってきたのかと考えることはとても大切なことです。
冒頭で申しましたように私たちは一人では生きていけません。共に寄り添い生きているのです。ご先祖さまから受け継いで今存在していることが私たちの生きている証であり、受け継いで導かれていく道があり、そこに感謝が生まれるのではないでしょうか。

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