先日、入った御手洗いで履物が乱れておりました。あなたはそのような場面に出くわした時どう致しますか?勿論そろえますよというお声が聞こえてきそうでございますが、では急いでいる時や何かに腹を立ててしまっていたら、つい見て見ぬふりをしてしまう時もあるのではないでしょうか。
普段であれば何事もなく出来ることが、気持ちに余裕が無いと普段と同じ振る舞いが出来なくなってしまうことがあるかも知れません。しかし、それはおかしいことではなく私達人間は心の状態によって物事の見方が変わってしまいます。いつも見ている景色や家族友人からの何気ない一言でさえ、自分の気持ちが嬉しい時、悲しい時で感じ方や受け取り方が変わってしまうのです。それは私達の心が常に一定ではないからなのです。逆に心を整えることが出来れば、他人や物事の動きに対してやわらかく接することが出来ます。
心を一定に保つ事は大変難しいことですが、私が心を乱さないように実践している事があります。それは、履物をそろえるという事です。曹洞宗の本山の一つ永平寺で修業をしていた時、永平寺の御手洗いにはこのような張り紙がしてありました。
はきものをそろえる
はきものをそろえるとこころもそろう
こころがそろうとはきものもそろう
ぬぐときにそろえておくと
はくときにこころがみだれない
だれかがみだしておいたら
だまってそろえておいてあげよう
そうすればきっと世界中の
人の心もそろうでしょう
永平寺での修業を終えた今も、この言葉が頭に残ります。履物をそろえる事で同時に自分の心もそろえることが出来るのです。乱れた履物を見たとき素直にそろえる事が出来なければ、今心が乱れていると自分を見つめ直すことが出来ます。そうして心を整えていけばきっと、あなたやあなたの周りの人、そして世界中の人の心がそろうでしょう。そうした願いを込めながら、今日も履物をそろえて参ります。
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