曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

写経のすすめ []

三重 海蔵寺 田宮正弘 師

私が住職を務めているお寺では毎月写経の会を開催しています。毎月20名ほどの方が参加されます。「般若心経」を書き写し、納経の際にはみんなで般若心経をお唱えし、その後お茶とお菓子を頂きます。

 そもそも写経とは文字通り仏教の経典でありますお経を書き写すことです。日本の写経の歴史は日本書紀に記されており、奈良時代の聖武天皇のころには専門の写経司がおり、書き写された経典が全国に配られました。その後、平安時代の頃から先祖供養や祈願成就、個人の仏道修行などを目的として写経が行われるようになったようです。現代の写経においても、最後に御先祖様の供養のためのお戒名や病気平癒など個人のお願いごとを書かれる方が多くみられます。

 ある日、お檀家さまに写経をお勧めすると、「私は字が下手だからやめておくわ」と言われました。その時私は「字の上手い・下手は関係ありませんよ」と申し上げました。書道とは異なり、写経は上手な字を書くことが目的ではありません。一字一字を仏さまだと思って丁寧に書き写すことが大切なのです。

現代においてはパソコンで手紙や書類を作ることが多く、文字を手書きする機会は少なくなってきたのではないでしょうか。写経では276文字の般若心経を一時間かけて書き写します。その間はしっかり文字と向き合い、自分と向き合い、そして仏さまと向き合い、お経に書かれている仏さまの正しい教えを受け止めましょう。ご自宅で写経をされる時にはテレビを消して静かな環境をつくり、お寺で写経をされる時はお線香の煙や香りを感じながら、姿勢を正し写経をして下さい。日頃仕事や雑事に追われて過ごしている方はしばし自分を見つめ直す時間として写経をしてみてはいかがでしょうか。きっと心に余裕がうまれ心と体が整うと思います。

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