「あの人は今、どこにいるのでしょうね」
愛する人を失った遺族の方から、時折、そう問いかけられることがあります。
私は、「あの方は、あなたの中にいるのですよ」と、お答えします。
あるとき、伴侶を病気で亡くされた方のお宅に伺ったときのことです。
その方は、庭の畑に水をまいていました。声をかけると、あわててとんできて家の中に案内してくれました。
お話によると、その畑は亡き人が大切にしていた畑で、もうすぐ収穫できるということでした。亡き人を愛おしむように、そして楽しそうに話をしてくれました。
きっと、畑の手入れをしているとき、その方は、亡き伴侶といっしょにいるのだろうなぁ、と私は思いました。
私たちは、多くの人と関わり合いの中で生きています。関係が深くなるほどに、その相手の言葉や行動から影響を受けています。
愛する人とともに生きる時間の中で、いつしか、相手と同じように考え、行動するようになっていくこともあるでしょう。
それは、自分自身の行いの中にこそ、愛する人がいる、ということなのです。
あなたのその行いは、愛する人がしていた行いではないでしょうか? あなたのその言葉は、愛する人が口にしていた言葉ではないでしょうか?
もし、そうであるならば、亡くなった愛する人は、もうすでにあなたの中にいるのです。
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