曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お彼岸さんでの出会い []

三重 宝蔵寺 井上洋彰 師 

今年の桜も各所で見事に開花しました。私のお寺にも歴代住職の墓地に桜が数本植わっております。春彼岸のお墓参りの時、階段を上がっていくと徐々に桜の花が顔を出してきます。暖かい日差しでしたが春風は少しひんやりとしていました。階段を登りきると空には満開近い桜の花。今年も綺麗に咲いたなと思い、ふと年配のお檀家さんとの話を思い出しました。

三密を避ける為、ストーブを焚きながら窓を開け、人との間隔を保ち、マスクを着けてお経を読む。今までとは違った本堂での法事の後、「コロナで人に会うことも出来ないし、遊びに行きづらくなっちゃったけど、毎日自分の出来る事を一生懸命やるだけだよ。以前のようには行かなくても、今こうして生きていられるのは全部先祖様のおかげだと思っています。」とおっしゃっていました。その笑顔は清々しく美しく思える程です。
 はたして、私はこのお檀家さんの様に毎日一生懸命生きているか。コロナ禍で不安を抱え、今まで通りに出来ないことを理由に、怠慢しているのではないかと振り返ります。
 
世の中は激変し、日常生活は大きく変化してしまいました。しかし、桜は世間にとらわれことなく今年も開花し、このお檀家さんはどんな環境であっても、一生懸命生きることを心掛けています。桜の花の美しさ。お檀家さんの生きる姿勢の美しさが同じに思えます。私たちは美しいと感じたものに触れたとき、心は清々しくなり活力が湧いてきます。自己を律し今出来る事、今しか出来ない事を一生懸命やる。そうすれば、必ず満足のいく一日を送ることが出来る。つまり幸せに繋がるのではないでしょうか。
あと数日で満開になる前に、今出来る事を一生懸命やりましょうと、お彼岸に教えられた様に思えます。

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