1周忌は英語に翻訳すると「the first anniversary」となります。
「アニバーサリー」と聞くと多くの方は「記念日」と翻訳されることでしょう。
「亡くなって1年の記念日」、日本人の感覚からすると違和感があるかと思います。
しかし、これはあながち間違いではないのです。
法事は亡くなってから何年と数える。わたしは、すごく後ろ向きに感じます。
ただわたしも、ある出来事が起こるまでは、そのように考えていました。
わたしがヨーロッパで修行した際、坐禅をしているオランダ在住のベルギー人の方に聞かれました。「なぜ日本では亡くなった人に対して年数の決まりを設けて供養するのか?」この質問に答える会話の中、英語でアニバーサリーと法事を表現するうちにカルチャーショックに似た衝撃を受けました。
ヨーロッパの方は、法事を明るい事としてとらえていました。なぜなら、「亡くってから」と数を数えずに、「仏として何年経った」、砕けた表現をすれば1周忌は、「仏さんの1歳の誕生日だ!」の感覚でいたのです。日本で生活しているわたしにとってみれば、訂正してあげなくてはいけないと思うどころか反対に納得させられた感覚になりました。この後、わたしは数える出発点を改めて考えることになりました。
「亡くなってから」と数えることで不幸ごとを振り返っている感覚になりますが、仏さんと生きている者が一緒に生活を始めた年数と考えることはできないのか。
いわば、一周忌を仏さんとして誕生して1歳の記念日ととらえ、互いのこれまでの労をねぎらい、先の安心を願うハッピーな機会になるのではないかと。
「亡くなった方のため」にお付き合いする場所がお寺。
間違いではありません、ただあまりにもネガティブにとらえすぎていませんか?
むしろ、生きている者のためにあるのがお寺です。
生きている我々も、亡くなった方もそれぞれの場所で毎日を過ごしています。
後ろを向いて歩く人などいません、前を向いて進むために人は歩きます。
今日から亡き人を想うとき、どうぞポジティブに思いを馳せてください。
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