曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

日常の布施行 []

愛知 祥雲寺 角田祐樹 師 

本日は「布施」についてお話ししたいと思います。
皆様は「布施」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?多くの方は「お金の施し」というイメージが強いのではないかと思います。確かに「布施」には「財施」といって財物を施すという意味合いもありますが、それだけには止まりません。優しい言葉を掛けたり、思いやりのある行動や眼差しなども布施行となります。
私の地域では犬の散歩をしながら小学生の通学の見守り活動をして下さる方がいらっしゃいます。私の子供も今年から小学校に通うようになり、最初は不安が大きかったようですが、毎朝同じ方とワンちゃんに遇うのを楽しみにするようになってきました。
見守りをされている方は、子供達からお礼や見返りを求めているわけではありません。ただ子供達が安心して学校に通えるように地域の為の行いであり、子供達や親に安心を与えるとても有り難い布施行です。
「布施行」というのは日常の様々な場面でも行えます。笑顔で人に接したり、思いやりのある言葉を掛けることも布施ですし、電車に乗っている時にお年寄りや妊婦さんが座れなくて困っていれば、席を譲る・・・。これも布施行となります。皆様も知らず知らずの内に行っていることかもしれません。
また「布施というはむさぼらざるなり」とも説かれております。
これは何か布施をしようとするときに「見返りを求めない」と云う事です。これがなかなかに難しいことで私たちはえてして人に対して何かした時に「・・・してあげたのに」と考えてしまいがちです。しかしそれでは布施にはなりません。一心に純粋に「報謝を求めず 自らが力を頒つ」ことで布施行となるのです。
何も難しく考えず日常の生活の中で出来ることからで良いので、私たち一人一人が自分の周囲を見渡し気付き、少し勇気を出して人のためになる行動を起こす・・・多くの方々が小さな布施行を重ねていけば周りを少しずつでも良い方向に変えていけるのではないでしょうか。日常の小さな布施行を共につとめましょう。

| top | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 次のお言葉 |