曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

穏やかに生きる為の点検 []

愛知 普蔵寺 川浦良允 師 

誰しもが心穏やかに生きることを望んでいると思います。しかし人間生きていますと、人間関係や目の前に起こった出来事が自分の意にそぐわない時、ついイライラしてしまうものです。
その原因となるのは実は自身の中にある自分本位な考え方なのかもしれません。偏ったものの見方をしたり、人の都合や思いを考えず、自分の都合を優先してしまう自分本位な考え方が、イライラを引き起こしているかもしれません。
私の小学校からの友人でゆうと君という子がいます。ゆうと君と私は三年生の時に同じクラスになって、今でもたまに連絡を取りあう仲なんですが、当時は正直私はゆうと君のことがすごく苦手な存在だったんです。当時のゆうと君は授業中いつもおしゃべりをして、常に先生に叱られていていました。正直私もうるさいなあと思っていましたし、一緒にいると自分まで怒られるんじゃないかと思って次第に距離をとって、関わらないようにしようと思うほどにもなっていました。ところがある日担任の先生から聞いたある話をきっかけにその考えを改めることになるのです。それは実はゆうと君は二年生の終わりに引っ越してきた転校生だったんです。友達もいなくて、きっと寂しい想いをしているからみんな仲良くしてあげてね、っていう話だったんです。
当時の自分を振り返ると、ゆうと君の事情も知らずただ落ち着きがない子だと決めつけてしまったこと、自分は先生に怒られたくないという一心でゆうと君に関わらないようにしてしまったこと、まさに私の中に自分本位な考えがありました。先生の話をきっかけとして自然とその自分本位な考えが解けることで、私の心もゆうと君との関係も次第に穏やかになっていったのです。
子どもの頃の話ですが、自身の想いや行動が、自分本位な考えになってないか自身の心を点検することで、穏やかな心を手に入れる1つのきっかけとなるという私の教訓となっています。人や出来事に対しイライラしたときこそ点検の時なのです。心穏やかに生きる為、自身の心に自分本位がないか点検する習慣を身に着けて参りたいものです。

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