曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お盆のこころ []

愛知 東昌寺 芳賀成明 師 

八月はお盆の時期ですが、その由来をご存知でしょうか。
 お釈迦様の時代、行動が制限される雨季の間は同じ場所で禁足修行するのが常でした。
 その雨季が明ける頃のお話です。
神通力に優れた仏弟子の目連さんがある日、修行の合間に亡き母は今どこにいるのかと神通力で探しました。すると、あの優しかった母がなんと餓鬼道に堕ちて苦しんでいました。
 驚いて神通力で救おうとしても叶いません。
 困り果てお釈迦様に助けを求めると「其方の母は其方を慈しむあまり執着という餓鬼の心に囚われて抜け出せないでいるのである」
 「ただ、雨季明けの行脚も近い今、其方の仲間も重ねた修行の功徳に充ちている。その彼等に執着を離れた供養を勤めるならば母の執着も解けるであろう」と示されました。
 そこで目連さん、自分のできる布施行を仏弟子仲間に精一杯勤めると、お母様は餓鬼道を脱し天上界に昇っていかれたそうです。
 そしてそれを知った人々も目連さんに倣い
雨季明けの頃に仏弟子に供養を勤めご先祖の恩に報いたのがお盆行事の始まりだとか。
愛情も度を越すと苦しみになりかねません。
 でも、いつの時代も親が子や孫を慈しむ思いというのは悲しいほど深いものと気づかされるからこそ、それにどう応えて行けばいいのかを故人との繋がりの中で見つけていくのがお盆の意味かも知れません
私が修行を終えお盆のお経に回り始めたころ、あるお宅の盆棚に胡瓜の馬とプラモデルのオートバイが供えてありました。
 お話を伺うと「亡くなったおじいちゃんが好きだったバイクに乗って帰れるようにって子供が作ったんですよ」とのことでした。
それをお聞きしてお盆のこころを教わったと今でも思っています。
お盆の時期、皆さんはどのように故人と交流しておられるのでしょう。

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