曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

いいこと、悪いこと []

静岡 光鏡院 岡田一樹 師

先日、子供達と節分の豆まきをした時のお話です。
「鬼は外。福は内」と元気な声で豆をまきましたが、私が「鬼ばかり外だとかわいそうじゃない?」と聞くと「鬼は怖いからいいんだ」そうですが、よくよく考えてみると自分たちに都合のいいものはこっち。都合の悪いものはあっち。
気持ちはわからなくもないのですが鬼がかわいそう。ふとそのような事を思ってしまいました。
お釈迦様が晩年に説かれた「涅槃経」に有名で面白いお話があります。
ある家に、一人の美しい女性が着飾って訪ねてきました。その家の主人が「どなたでしょうか」と尋ねると、「私は人に富を与える福の神です。」と答えました。主人は喜んでその女性を家にあげ手厚くもてなしました。すると、すぐそのあとから粗末な身なりをした女性が入ってきました。「どなたでしょうか」と尋ねると「私は人に災難がおきる貧乏神です」と答えました。主人は驚いてその女性を追い出そうとしました。貧乏神は、「先ほどの福の神は私の姉です。私たち姉妹はいつも一緒で離れたことはありません。私を追い出せば姉もいなくなります」と主人に言いました。
そして貧乏神を追い出すと、美しい福の神もいなくなりました。と、いうお話です。
お釈迦様は言われます。「生があれば死があり、幸いがあれば災いがある。よいことがあれば、悪いことがある。ひとはこのことを知らなければならない。おろか者は、ただいたずらに災いをきらって幸いだけを求めるが、道を求めるものは、この二つをともにこえて、そのいずれにもとらわれてはならない。」
この話は「さとりとは、二つに分けないで一つと見る仏様。人間の考えを超えた世界」
「まよいとは、二つに分けて見る人間。人間の考えとらわれた世界」をあらわしているんだそうです。
私たちは日々色々な事が起こります。歩歩是道場。山を登る際に、一歩一歩を踏みしめて登るように、日常生活のあらゆるものに一生懸命取り組む事で学びや修行となる考え方を表した言葉になります。
一日一日を大切にすごしたいものです。

| top | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 次のお言葉 |