曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

生き方を調える []

愛知 関貞寺 西村元臣 師 

坐禅を行う時にはまず姿勢を調えます。
姿勢を調え、呼吸を調えることで、心がまっすぐに調ってまいります。

坐禅をしている時、他の事を考えてしまうと、心が傾き、体も傾いてしまいます。
坐禅をすることで、自分自身の心の傾きに気が付くことができるのです。

しかしながら普段の生活では、坐禅をしながら行動するという事はできませんよね?
ではどのようにすれば、心を調えていくことができるのでしょうか?

それは1つ1つの行動を丁寧に行っていくという事です。
このことの大切さに改めて気付かせていただいた出来事を紹介させていただきます。

私が本山での修行を終え、お寺に戻り、まだ間もないころの話です。
「おまえは本山で何を修行してきたんだ」
普段穏やかなはずの住職が、不機嫌な声で私を怒鳴りつけました。

私はこの日、急いでお経先に向わなければなけないということもあり、
時間に追われる中、朝の食卓で、大きな音を立てながら、味噌汁をすすっていたのです。
仕事の時間を優先し、朝の食事を少しでも早く済ませようとした心の傾きが
食事を蔑ろにした、いいかげんな食事作法に変えてしまったのです。

食事中には音を立てない。履物をそろえる。
身だしなみを調えるところから、お風呂場や御手洗い、掃除に至るまで。
朝起きてから夜眠るまでの1つ1つの行動を丁寧に行っていくということが禅の教えです。

及ばずながらも、1つ1つの行動を丁寧に調えていく。
その行動を日頃から調えているからこそ、傾いた心の姿勢に気が付くことができるのです。

今思い返しても、
修行中から毎日続けてきたことなのに、
何であんな簡単なことすらできていなかったのかと、
自分自身の行いを反省し、戒めにしております。

私にとって
自分自身の心の傾きに気が付かせていただいた住職からの一言が、
私の生き方を調える、大切な習慣となっているのです。

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