天童山如浄禅師より正しい法を継ぎ、曹洞宗を日本に伝え永平寺をお開きになられた道元禅師は、五十四年のご生涯の間に「正法眼蔵」「永平広録」「永平大清規」「学道用心集」「普勧坐禅儀」 など多くの教えを残されました。それらのいずれもが「真理」の教えであり、人生如何に生きるべきかということにつきお説き下さった珠玉の教えであります。
この度は「正法眼蔵」を中心に、道元さまの言葉を紹介させていただきます。道元さまの教えは実に膨大なものであり、ここではその一端のみの紹介であります。しかもそれらが私なりの解説であり、独断と偏見のそしりをまぬがれません。この点につつきましては何卒ご容赦ください。
道元さまは「空手還郷」の言葉に代表されるように、文字による理論理屈の仏教を否定され、只管打坐を中心とした実践の仏道、すなわち佛道を標榜されたのであります。したがってこれはその意味からすれば月をさす指のようなものであります。また私自身のためのものでもあります。私たちは真実の教えを求め、己自身を見つめ直し、悔いなき人生を送りたいものであります。
東海管区教化センター前統監
神谷 道宣 老師