西暦1970年、大阪に於いて万国博覧会が開催されました。その時のテーマ「人類の進歩と調和」。確かに振り返ってみると、物質的にはめざましいほどの進歩を遂げ、当時から一生懸命になって血と汗のにじむような努力をされた方々のおかげで、私たち一人一人がその恩恵にあやかることで、現在とても快適な生活を送ることができるようになったのは事実です。
しかし調和ということにおいては果たしてどうであったでしょうか。貧しかったけれど心は豊かな時代がそこにはありました。
尊いご縁があって人としてこの世に生まれてきた自分。私たちは成人していくにつれて心に自分のものさしを持ち始め、それを基準に物事を推し量ることで、結果的に自ら苦しみを生み出す原因を作ってしまうのです。
自我ではなく自己、本来備わっている美しく清らかなほとけの心を誰しも持ち合わせているのです。そして私たち人間というものはおのおの一人で生きてゆけるものではありません。とても弱い生き物なのです。
食卓の目の前の湯気の立った温かい食事、食材にはみんなかつてほとけのいのちが宿っていたものばかり。そして大地の恵み、多くの人たちのご苦労、他の生き物のいのちをいただいてこそ、私たちは生きながらえることが出来るということ、生かされている自分に早く気がつかなければいけないのではないでしょうか。
自分が弱い人間なんだから相手も他人もきっとそうなんじゃないのか、だったらお互い話し合うべきだろう。さらに一歩進んで、自分のことはともかく、相手の気持ちになって考えなくては、行動しなくては、という菩薩様の様な広い心を誰しも持ち合わせているのです。
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