曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

「どうぞ」っていいね [No,1404、7月9日〜7月15日]

静岡県浜松市 西光院住職 桐畑守昌 老師

 太陽がとても高く感じる季節となりました。そう、お盆を迎える時期です。お盆には仏様ご先祖様がお好きなものをお供えしてお迎えし、生きとし生けるものに施す供養をします。
 あるお檀家様でのご供養の時のことです。丁度小学校がお休みで久しぶりに三世代そろっての月命日のご供養でした。おじいちゃんが大好きだったどらやきなど甘い物を沢山お供えしてみんなそろってお経をあげました。その供養の終った後で、末っ子の男の子が「仏様のお菓子が欲しい」と言い出しました。そして私が、「じゃあもう一度手をあわせておじいちゃん戴きますと言いましょう」と声をかけて一緒に手をあわせた後、一番大きいどらやきを戴きました。すると母親が「あなたには大きすぎるからお兄ちゃんと半分こしなさい」と言って半分に分けました。すると同じ大きさの半分にはならず、大きい物小さい物の2つになり私はさあどうするのか?と興味津々で見つめていました。するとその男の子は「大きいのはお兄ちゃんどうぞ」と差し出しました。しかしお兄ちゃんは「お前が沢山欲しいんだから僕は小さい方でいい」と受け取らないのです。困った弟さんは大きい方を小さい方と同じぐらいになるようにちぎって「和尚さんどうぞ」と差し出してくれたのです。私はその行いがとても温かく気持ち良く感じました。
 兎角私たちは何に付け「もっと、もっと」と必要以上に欲が出てしまう時があります。その心をおさめ、生きとし生けるものすべてに思いやりのある施しの心、「どうぞ」という気持ちを持ってお盆にご先祖様をお迎えしたいものです。

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