曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

とことん考えてから [No,1415、9月24日〜9月30日]

静岡県下田市 竜巣院副住職 宮川大輝 師

 十年近く一緒に生活している犬を散歩に連れて行く時の話です。
 散歩の道すがら、道が左右に分かれるところがいくつかあります。どちらの道を私が選ぶか、私のこころの中を察するように、犬は一度振り向きます。そして、それとなくそっちだよと視線を送った私に答えて、嬉しそうに、てくてく歩いて行くことがあります。私のこころを犬が察してくれたのです。
 しかし、察することが出来ないときだってあります。この場合私が出来なかった話ですが、「よしお腹がすいたんだな」、と思って、ご飯を与えても、まったく見向きもしないときです。そんなときは寂しいものです。
 人とひととの関係も、相手の思っていること・望んでいることをぴたりと察して行動すれば、お互いうれしいでしょう。
 ところが、そう上手く行くときばかりではありません。良かれと思ってしたことが、人を傷つけてしまったり、行動したことで、自分が傷つくこともあります。そんなとき「もっと考えてから行動すればよかった」、と後悔するはずです。
 お釈迦様はお覚りを開かれてから後、布教の旅を続けられました。旅の途中、悩み苦しむ人に声をかけ続けたのです。
 はじめて向かい合うその人の、悩み苦しみを自分の事として捉え、その人を導くための最前の方法を、とことん考え抜いて行動したのです。けして傷つけることのないように考え抜いてから行動したのです。
 わたしたちも、相手のことを、とことん考え抜いてから行動することで、誰もが傷つくことなく、仲の良い生活をしたいものです。

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