曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

いただきます、ありがとう [No,1420、10月29日〜11月4日]

愛知県刈谷市 松秀寺副住 佐野玲胤 師

 「いただきます」と聞いて真っ先に思いつくのは食事をする時だと思います。しかし本日は食事の時以外の「いただきます」についてお話したいと思います。
 最近テレビのニュースや新聞の記事を読んでいると、見知らぬ人を突然襲い金品を奪いさらには殺してしまったり、自分の親や子を殺してしまったりと、非常に聞くに堪えられないような残酷で身勝手な事件が多いような気がします。そこで普段の自分のとる行動を「させていただきます」、という考え方で生活してみてはいかがでしょうか。どうしても人は自分が大事で何か良いことがありますようにと思いがちですが、子供が生まれてきて何気ない成長が無条件に自分の事の様にうれしく、幸せを感じる親のように、「自分以外の人の幸せが自分の幸せ」と考え、今自分がこの世に生きて、今行なっていることはすべて「させていただいているんだ、ありがとう」と常に思い、人のため人のためと行動することが仏様の教えではないでしょうか。
 観音様は幸せの向こう岸があるとするならば、この世の中のすべての人を幸せの向こう岸に渡してから、自分が渡りますという話を聞きます。ということは観音様自身は幸せの向こう岸に行くことは無いのですが、世の中の人が幸せになることが観音様の幸せなのですから、観音様は向こう岸に渡れなくても幸せなのです。
 決して自分自分と思わず、まずは他人のことを考え、こうすればあの人が喜び、その喜びを自分の喜びと思えるような「させていただきます」の心をもちましょう。

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