曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

大事な一言「ごめんなさい」 [No,1421、11月5日〜11月11日]

愛知県知多市 福田寺副住 加藤正賢 師

 皆さんは、失敗や間違いをした時に、はっきりと「ごめんなさい」と言えますか? 思いがけない時や、急な時には、なかなか言えない言葉ではないでしょうか?
 以前、私が、ある歯医者さんに御世話になっていた時、こんなことがありました。
 その日は、急患の方がみえて、いつもより1時間遅れて治療となり、先生がみえると、「待たせてごめんなさい。実は…」と、何やら神妙な様子です。私が、「どうしました?」と、聞きますと、「急に水道工事を始めてね、断水になってしまって治療できなくなったんだよ。本当1時間も待たせてこんな始末で、本当申し訳ない申し訳ないです。」と、私より一回りも上の方が、平謝りをされておられます。
 こんなに平謝りされますと、なんだか気の毒に感じたのですが、はっきりと「申し訳ないです。」と、おっしゃった先生の気持ちに、私は感心いたしました。
 「あやまる」という言葉は、言い換えますと「懺悔」とも言えます。ふつう「ざんげ」と読みますが、仏教では「さんげ」と申します。悪い事をしてしまった時に、心から謝り、許しを頂く意味です。修証義に、
 「前仏懺悔の功徳力、我をすくいて清浄ならしむ。」
と、ございます。心から懺悔する気持ちには、自分だけでなく周りの人にハッキリと許しを認めてもらうことに意味があります。もし、そうでなければ、お互いの心はもやもやして、スッキリとはいたしません。
 思いがけない、とっさの失敗は、皆さんにも経験があると思います。気持ちが動転していると、謝るということは、なかなか難しいです。でもどんな時でも、まず、自分の素直な気持ちで、「ごめんなさい」と言えるようにいたしましょう。

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