最近、「お墓の頭から水を掛けても構いませんか?」と尋ねられることがありました。また、お墓に水を掛ける度に、どこから掛けようかと気にする人もいらっしゃるようです。お墓の頭から水を掛けてはいけないという考え方は、テレビの影響で作られたものでしょう。しかし、これは間違いです。日本仏教ではお墓の頭から水を掛けても構わないことになっています。水を掛けるという風習は、日本が火葬ではなく土葬であった時代までさかのぼることが出来ます。土葬の時代、日本人は「亡くなった方を早く土に帰してあげたい」という気持ちを強く持っていました。早く土に帰してあげるためには、水が必要です。乾いた砂漠の砂の中かにご遺体を埋めたら、ミイラになってしまい、土には帰りません。
土葬の際、棺を埋めるとその上に墓標を置きます。そして、お墓参りの際には「早く土に帰って下さい」と念じながら、墓標の上から水を掛けました。実際に、その水には亡くなった方を早く土に帰す効果があります。これは「功徳の水」と呼ばれ、お墓参りの際の大切な作法でした。日本のお墓が、平らではなく縦に長い格好をしているのも、上から掛けた水が、溜まらずに下に流れていくためです。
仏教を始まられたお釈迦様の遺言に「自らを拠り所にし、他人を拠り所にしてはいけない」という言葉があります。これは「他人の言うことを鵜呑みにせず、自分でよく考えないと、悩みは増える一方ですよ」という意味もあります。
テレビで有名人が自信たっぷりに言っているからとか、周りの人も信じているからといって、なんでも盲信すると悩みは増える一方です。自分でよく考えて、物事の道理を明らかにしていけば、余計な悩みは減っていくことでしょう。
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